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自家焙煎珈琲豆の店「彩香房」 房主:杉浦壽偲
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1)【Peaberry】ピーベリー |
コーヒーの実はチェリーと呼ばれ、まさにさくらんぼのような木の実の種が珈琲豆そのものなのです。 普通は半円形の種が二つ向き合うように入っているのですが、栄養が行き届かなかったり、退化したりで丸く小粒の種がひとつだけになってしまうことがあります。 これを普通のフラットピーンズに対してピーベリーといいます。 主にコーヒーの木の先端部分に全体の5%から10%を占め、捨てられる運命にあったものではありますが、その希少性と旧来珍重されてきた背景とフルーティーな優しい酸味が特徴的で、差別化されたクウォリティー・ビーンズの評価もあります。 |
2)珈琲銘柄のネーミング(通例的な定義) |
店頭で珈琲銘柄を選ぶ場合、ネーミングだけではどんな珈琲なのか、味わいはどうなのか、その不明瞭感はワインを選ぶのに似ている。 意外と正直よくわからないまま購入してしまう方も多いのではないでしょうか。 珈琲にも、ちょっとしたルールーに基づいてネーミングされているので、それを知るだけでも視界が開けるのではないでしょうか。 ネーミングには、その珈琲の素性が反映されているのが普通ですが、確かに専門店によっては、ブレンドA・B、深煎り1番、2番などと、その店のマスターに聞かないことには解らないネーミングもあります。(当店も、ブレンドについては「香<こう>、彩<さい>」などと呼んでいるので、そのつど説明させてもらってます。 ^^;) 【ネーミングの根拠(ストレートの場合】 @生産国(エリヤ名) A生産地域の山岳名称 B輸出港 C豆の格付けグレード C栽培農園 などがネーミングのベースになり、それに加えて生産者の名前、精選方法などが盛り込まれたりしています。 「モカ」「キリマン」「ブルマン」「コナ」「トラジャ」などは良く聞かれるネーミングですが、いずれも生産国名ではなく、港、栽培地域がネーミングとして知られている例ですが、これだけではおおざっぱな輪郭しか見えてきません。 「モカ」は、イエメンの出荷港名ですが現在は、この港は使われていません。 そして、正確にはエチオピア産とイエメン産のモカがあり、さらに「イエメン・マタリ」「エチオピア・ハラー」「エチオピア・シダモ」などとエリヤ分けされているのが原則で、もちろん味わいも、価格も違ってきます。 【ちなみに当店の「イルガチェフG1」は『エチオピア・シダモ・イルガチェフ・グレードT』というネーミングから、シダモ地区のなかのイルガチェフという栽培エリヤのエチオピアの格付けの最高グレードTという輪郭が見えてきます。 さらに豆の形状、精選方法、などを付け加えると、さらに素性が明確になるという理屈です。】 上記のネーミングについては、次のような定義がされています。 「キリマン」:生産国タンザニアのアラビカ珈琲のこと(ブコバ地区の豆を除く) 「ブルマン」:生産国ジャマイカのブルーマウンテン地区で生産されたアラビカ珈琲 「コナ」:生産国アメリカ、ハワイのコナ地区生産のアラビカ珈琲 「トラジャ」:インドネシア、南スラウェシ島(州)のトラジャ地区生産のアラビカ珈琲 また、格付け(グレード)については、栽培地標高【SHB*1、SHG*2】、スクリーン(豆の大きさ)【AA、AB、スプレモまたはエクセルソ(コロンビア)】、300g中の欠点評価【グレード、タイプ、No】などを表す記号などがネーミングに付加されることも多い。 |
*1 Strictly Hard Bean
*2 Strictly High Grown
3)珈琲の格付け評価 |
先月の豆知識「珈琲銘柄のネーミング」でも触れましたが、生産地の格付けはどのようなルールの下に評価をしているのでしょうか。 どんな珈琲豆でも生産地に限らず一律に、同じ良し悪しの基準が決められていればいいのですが、実は残念ながらそうではないのです。 しかも、これは物理的な数値評価であり、概して良質な評価でありながら、必ずしも品質と、その味わい評価とは結びつかない点も、認識することが必要になります。
しかし、この数値評価(品質基準)は、取引上の輸出規格として生産国にとっても重要なツールであり、評価の要となっています。 主な各国の評価方法は、次の4方法に分類されます。
@ 標高によるもの <メキシコ><グァテマラ><エルサルバドル><ホンジュラス>など
A スクリーンサイズ(S1=1/64インチ)によるもの <コロンビア><タンザニア><ケニア>
B 欠点数(300g中にいくつ)によるもの <エチオピア><ペルー>
C スクリーン+欠点数によるもの <ブラジル><インドネシア><キューバ><ジャマイカ><ハワイ>
※ハワイの欠点数は、1ポンド(453g)あたり
以上の評価と共に、今日、注目される評価の概念が「スペシャルティー豆」と呼ばれるものです。
「スぺシャルティー豆」 は、栽培地での栽培コンセプトを含めて、消費者へ届くまでの素性(トレサビリティー)と「美味しさ」の評価に視点を向け、まさに「プロセスとカップ(味わい)評価」が必須というスペシャルティーの概念に基づく評価に値する豆のことです。
そしてこのような評価基準をベースに、階層的な上級グレードを意味する概念となります。 当店「彩香房」も、上記の輸出規格グレードとともにスペシャルティー豆の概念を重要視し、生豆を買付け焙煎をしています。
【取り組み】 珈琲生産国および消費国では、双方でスペシャルティー豆の概念と適切な評価、価値観への取り組みが行われていますが、日本での団体「日本スペシャルティー・コーヒー協会」では、「スペシャルティーたるもの」を次のように定義しています。
【消費者の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味がすばらしいおいしさであり消費者がおいしいと評価して満足するコーヒーであること。
風味のすばらしいコーヒーのおいしさとは: 際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。 そして、同様にカップの中のコーヒーの風味がすばらしいおいしさであるためには、コーヒーの種子からカップにいたるまでのすべての段階において、一貫した体制・工程で品質向上策、品質管理が徹底していることが必須である】としています。
以上のように「味わい評価」という視点からのスペシャルティーの認知が高まる中、世界的には、アメリカのSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)やSCAE(ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会)等がその定義付けの策定をしている最中であり、世界での共通した定義は、未だ固まっていないのが現状です。